クラフトビール

「クラフトビール」という言葉をここ数年でよく耳にするようになり、最近では様々な職人や醸造所によって作られた、種類豊富なビールをスーパーなどの身近な場所で見かけるようになりました。更にクラフトビール専門店やビアバーなども増えていて、ますますクラフトビールの人気が高まっているように感じます。

ビールの選択肢が増えたことで、ワインなどの他のお酒派だったけれど、ビールが好きになったという人も多いのではないでしょうか。

ところで、クラフトビールとは一体どのようなビールのことか知っていますか。現在日本でのクラフトビールには、実は明確な定義というものはありません。しかし、クラフトビールの発祥地であるアメリカでは、醸造所が「小規模」で「独立」していること。そして「伝統的製法」を使って作っているビールのことを、「技術や職人技」を意味するクラフト(craft)という言葉を用いてクラフトビールと呼んでいるのです。

1990年台半ば頃、日本でも一時「地ビール」がブームになったことがありました。地ビールは町おこしの一環として話題になり、当時300以上の醸造所が出来たと言われています。しかし、当時の多くの醸造所はまだ製造技術が未熟だったこともあり、地ビール=価格が高いだけであまり美味しくない、というイメージが付いていました。そんなことから、当時の地ビールブームは長く続きませんでした。

しかし2004年頃から、徐々に小規模生産ビールは売り上げを上げていきます。その背景には、長年の技術の追求や蓄積による生産技術の向上と、品質の高いビールを生産できるようになったことがあります。また、ベルギービールの普及によって、味や品質の良いビールなら価格が少し高くても飲みたいと考える人が増えたことなどが考えられます。この頃から、ビールの世界大会で日本のビールが表彰されるなど、日本のビール製造技術や品質の高さが注目されるようになったのです。

それぞれの個性を生み出すクラフトビール

ビールの基本的な原材料になるのは、麦芽・ホップ・酵母・水の4種類です。

  • 麦芽(モルト)=発芽させた大麦
  • ホップ=ハーブの1種、ビールの香り付けや苦味になる。
  • 酵母=ビールの製造過程で、糖質をアルコールと炭酸ガスに分解する。(発酵させるための菌類)

このように原材料はとてもシンプルなビールですが、麦芽にも酵母にも数多くの種類があるため、その組み合わせによってビールの味わいや色には様々な物が生まれます。そして、ビールが作られる環境(気温や湿度)や使う原材料の量、使うタイミングによっても、異なる香りや風味に仕上がります。

例えば、ビールの持つ「香り」について詳しくみてみましょう。ビールの香りは大きく分けて3種類の組み合わせからつくられています。

1つはエール酵母がつくる果物系の甘い香り、2つ目はモルト香と呼ばれる麦芽由来の香り、そしてホップ由来のホップ香には、フルーティやスパイシーなどのバラエティ豊かな香りがあります。ビールの香りは、この3種類の香りを組み合わせることによってつくられます。それぞれの香りをどう引き出し、バランス良くまとめられるかが、まさに醸造家の腕や個性の見せ所といえるでしょう。

クラフトビールには、作られる土地の地域性や作る職人の独創性が現れ、それが個性的なビールを生み出すこととなるのです。

作る職人や醸造所が違えば、その分だけ個性の異なるビールが楽しめる、それがクラフトビールなのです。

【おすすめ記事】いまさら聞けない!ラガービールをこっそり復習

クラフトビールと地ビール

アメリカでクラフトビール人気が起こり、その波が日本にもやって来ました。ビールの奥深い魅力を発信する醸造家たちによって、日本での地ビールのイメージや地位は大きく変わりました。クラフトビールも地ビールも、今は日本での明確な定義はないものの、個性や地域性という特徴を取り入れたビールという意味でどちらも本質的に同じものだと言えます。

クラフトビールの楽しみ方

ビール職人によって造られたクラフトビールは、味も香りもそれぞれに個性があり、そのバリエーションも非常に豊富です。口当たりの軽いものから、しっかりと重みのある味わいの物や、アルコールの度数も低いものから高いものまで様々です。ビールの種類を少し知っていると、その日の気分に合わせて飲むものを選べますね。あまりビールについて分からないという人もご安心下さい。お店の人に好みのイメージを伝えれば、お勧めを教えてくれるはずです。

クラフトビールを味わう際は、グラスに注がれたビールの色にも注目してみて下さい。一般的なビールの色とは異なる物も奥、視覚的にも楽しめます。

そして味わう際は、ぜひ最初にワインのように香りを試してみて下さい。ホップの華やかな香りからフルーティな香りまで、想像以上に豊かなアロマが広がります。

クラフトビールは一般的なビールのように喉越しを楽しむというよりも、一口ずつゆっくりと味わってみて下さい。フルーツのような甘み、ホップの苦み、ブランデーのような濃厚な味わいのものまで、とても幅広い味を楽しむことができるでしょう。

作り手によって、バリエーション豊かな香りと味わいのあるクラフトビール。

ぜひあなたのお気に入りのクラフトビールを見つけてみてください。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ

ふわっと軽やか、華やかな香り
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ

爽やかなりんごジャムの酸味
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ

麦芽100%
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ

オレンジピールの爽やかな香り
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。

Magia Rossa マジア・ロッサ

麦芽の芳醇さとオレンジの香り
琥珀色で、甘く麦芽の味わい豊かなウィートエール。
麦芽の香ばしさとオレンジピールの爽やかさのバランスが絶妙です。

Matthias マシアス

濃厚なはちみつの香り
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ

深いコクの芳醇なダークエール
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。

この記事を書いた人

アバター画像

サポーター公式