お酒をよく飲む方もそうでない方も、”クラフト”という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。最近ではビールだけにとどまらず、コーヒーなどにも使われるようになりました。
クラフトビールの定義

この“クラフト”という言葉の意味をご存知でしょうか。英単語ではcraftですが、手芸品や工芸品を意味します。では、“クラフトビール”とはどんなビールでしょうか。こだわってつくられたビール、というイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、そのイメージ通りといえます。
クラフトビールを明確に定義することは難しいのですが、「小規模ブルワリー(醸造所)がつくる個性的でこだわりが生きるビール」と捉えてみるとよいでしょう。元々、大手のビール会社が量産するビールと一線を画す上で用いられてきました。
しかしながら近年のクラフトビールブームもあり、大手ビール会社もクラフトビール市場に参入し始めています。よって時代の流れとともに、醸造所の規模はクラフトビールの定義には関係なくなる日が来るかもしれません。そうなればより一層、作り手がビールに込めるこだわりこそがそれぞれのクラフトビールを差別化することになるでしょう。
ちなみにアメリカでは、クラフトビール醸造所を「小規模で独立した醸造所」と定義つけています。(Brewers Association(ブルワーズ・アソシエーション)より)
具体的には以下の通りです。
「小規模」:年間生産量が600万バレル以下(アメリカ全土の年間売上の約3%に相応)
「独立した」:他の酒類製造業者によって所有されている資本が25%未満
それに加え、以下のような考え方もされています。
クラフトビールやその醸造所の象徴といえばイノベーションです。クラフトビールの作り手は伝統的なスタイルに独自の工夫を凝らし、前例のない新しいスタイルを築きあげていくのです。
(“The hallmark of craft beer and craft brewers is innovation. Craft brewers interpret historic styles with unique twists and develop new styles that have no precedent.”)
規模感や細かい定義の違いはあれど、“ビールの美味しさを追求する姿勢“は日本もアメリカも同じですね。
クラフトビールの歴史
クラフトビールはいかにして誕生したのかー それには法律の改正が深く関わっています。1994年にビールの製造免許に必要な年間最低製造数量が、2,000klから60klへの引き下げられました。これにより、いわゆる「地ビール解禁」となり、町おこしなどを目的として小規模の醸造所が多数誕生したのです。
地ビールブームはやがて一段落しますが、その後個性的なビールを自分たちの手でつくりたいという若手醸造家が登場します。彼らによって丹精込めてつくられたビールは、“クラフトビール”と呼ばれるようになりました。
昨今クラフトビールが身近になった背景には、インターネットの発達があります。消費者はクラフトビールの情報を手に入れやすくなっただけでなく、オンラインショッピングによって簡単に購入できるようになりました。
また、クラフトビールを取り扱うビアパブやビアフェスティバルのようなイベントも増えており、人気に拍車がかかりました。
2018年時点では、国内のクラフトビールメーカーは141社にも及びます。

クラフトビールの魅力
クラフトビールの大きな魅力の一つが多様性です。小規模醸造所によってつくられることが多いため、それぞれの醸造所ならではのこだわりを感じることができます。
ビールのおいしさを決める5つの大事な要素をご存知ですか。「味」、「香り」、「香味」、「色」、「泡」の5つです。クラフトビールの醸造家たちはこの5つの絶妙なバランスを日夜研究しながら、個性の活かせるビール作りに励んでいます。人の顔や性格はそれぞれ違うもの。そう考えるならば、作り手の数だけクラフトビールの種類も存在しうるといっても過言ではないでしょう。
また、それぞれのビールには相性の良いグラスの形があるとされています。さらにはそれぞれの適温も異なるのです。「ビールの種類×グラスの形×温度」の無数の組み合わせを考えるとき、深淵で広大なクラフトビールの世界を感じていただけることと思います。
ビール好きの方はそんなクラフトビールの世界を通して、なおさらビールの魅力に取りつかれることでしょう。もしあなたが現状ビールが好きではないとしたら、美味しいと思えるビールにまだ出会っていないだけかもしれません。ビアパブやビアフェスティバルでは、数多くのクラフトビールを飲み比べすることができます。そんな場所に足を運び、あなたにとってのお気に入りの一杯を探してみてはいかがでしょうか。
一緒に食べる料理のこともお忘れなく。ビールのスタイルに合わせて料理を選ぶことができるようになれば、あなたも立派な“ビール通”です。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。