発泡酒はビールや新ジャンルと何が違う? | 副原料や酒税法も解説

「ビール類」というお酒が何種類あるかをご存知でしょうか。正解は大きく分けると3種類です。ビール・発泡酒・新ジャンルと分けることができます(新ジャンルはさらに2つに分類することができます)。ビールと思って飲んだお酒が実は発泡酒だったという経験をお持ちの方も少なくないかもしれません。銘柄のパッケージによってこれら3種を見分けることは比較的簡単ですが、実際に飲んで味の区別をするのは意外と難しかったりします。そんなビール類のうち、この記事では発泡酒について解説しています。発泡酒の歴史・ビール類の各定義・酒税・副原料までを網羅。日本独自の進化を遂げてきた発泡酒の理解を深めていくことにしましょう。

クラフトビールとは

発泡酒の歴史

発泡酒の市場拡大のきっかけになったのは、1994年にサントリーが発売した「ホップス」という銘柄です。当時バブル崩壊後の不況の中にあり、味や香りがビールに似ていながらも価格がビールよりも安いことから、消費者の心をつかみました。その後、キリンビールが1998年に「麒麟 淡麗〈生〉」を発売するとこれが大ヒット。業界全体の中で発泡酒の構成比は約14%まで伸長しました。しかし発泡酒の成長は長くは続きませんでした。その原因こそ第三のビールやノンアルコールビールの台頭です。第三のビールについては、2004年にサッポロビールが発売したドラフトワンを皮切りに、麦芽以外を原料とした製品がビールメーカー各社から発売されました。一方ノンアルコールビールは、キリンフリーが2009年に日本初の製品として誕生して以降、第三のビールと同様に各社が続々とこの市場に参入しました。結果として発泡酒の売上は低迷。現在発泡酒は新ジャンルの3分の1程度の市場規模となっています。

ビール・発泡酒・第三のビールの違い

ところでビール・発泡酒・第三のビールの違いをご存知でしょうか。なんとなくビールは高く、発泡酒や第三のビールは安いというイメージを持つに留まっている方もいることでしょう。そこで、これら3つの違いをご紹介したいと思います。鍵となるのは、麦芽の使用料と麦芽以外の副原料です。

ビールの定義

ビールは麦芽の使用料が50%以上であることが条件となります。また副原料の使用割合も、重量比で麦芽の5%までに制限されています。

発泡酒の定義

発泡酒は麦芽の比率が50%未満であること、もしくは副原料の使用割合が5%を超えるものと定義されます。

第三のビールの定義

第三のビールは発泡酒に麦由来のスピリッツを加えたものか、麦や麦芽以外のものを原料にしているものを指します。

これはあくまでも日本での定義であり、国際的な定めではありません。その結果、海外ではビールとして普及しているものが、日本では発泡酒として取り扱われることもあるのです。

それぞれに異なる酒税額

上記の定義に合わせて、ビール・発泡酒・第三のビールの分類がされていますが、それぞれのジャンルには異なる酒税がかけられています。この酒税の違いによって販売価格に差が生まれているわけです。350mlサイズの各ジャンルの現行の酒税額は以下の通りです(2019年9月現在)。

  • ビール: 77.00円
  • 発泡酒: 46.99円
  • 第三のビール: 28.00円

副原料とは

ビール・発泡酒・第三のビールの定義の中で、副原料についてさらっと説明しましたが、もう少し詳しく解説していくとしましょう。副原料とは、ビールの原料である麦芽・ホップ・水以外に用いられる材料のことですが、なぜ副原料を使用するのでしょうか。その理由は、副原料がビール類の個性を生み出すからです。元々日本で副原料に使用できるものは麦・米・こうりゃん・とうもろこし・ばれいしょ・でん粉・糖類もしくはカラメルと限られていました。しかし。平成29年度税制改正に伴い、ビールの副原料として使用できるものが次のように改変しました。

  • 果実
  • コリアンダー(種を含む)
  • こそう・シナモン・クローブ・さんしょう・その他の香辛料またはその原料
  • カモミール・セージ・バジル・レモングラス・その他のハーブ
  • かんしょ・かぼちゃ・その他の野菜
  • そば・ごま
  • 蜂蜜・その他の含糖質物・食塩・みそ
  • 花・茶・コーヒー・ココア・これらの調製品
  • かき・こんぶ・わかめ・かつお節

この改正によって、輸入元ではビールとして流通していた海外製品をはじめとして、より多くの製品がビールと定義されるようになりました。また、地域の特産品を使用したビールの開発なども可能となったことから、さらなる市場の活性化のきっかけともなりました。

今後の酒税法改正について

酒税法は今後も改正が続くことが予定されています。例えば、容量350mlビールの酒税額は2020年10月に70円、2023年に63.35円、2026年に54.25円と段階的に引き下げられます。実は、2026年にはビール・発泡酒・新ジャンル(第三のビール)の税率が統一されることになっているのです。つまり、発泡酒と新ジャンルの税率はビールとは反対に段階的に引き上げられるということです。この改正により、安さを売りとしていた発泡酒や新ジャンルの需要が落ち込むと考えられます。一方ビールは現行制度よりも20円以上税額が引き下げられるため、より手が伸びやすくなります。

発泡酒、ビール、新ジャンルのまとめ

日本の景気が落ち込んだ1990年代後半に大きなブームとなった発泡酒は、ビール好きの財布に優しいお酒でした。日本独自の進化を遂げた発泡酒は、ビールメーカー各社の開発の賜物とも言えるでしょう。その後、第三のビールの台頭によってシェアは減少傾向にあるものの、今でも根強いファンがいることも事実です。2026年までの酒税法改正により安さを売りにはしづらくなる発泡酒。今後の動向が気になるところです。

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