ビールが好きな人の中には「あの苦みが美味しいんだ!」という人が少なくありません。そんな苦みが好きなビールファンの間で今注目を集めているのが「IPA」という種類のビールです。この記事では「IPA」の特徴や楽しみ方をご紹介します。

IPAってどんなビール?
「IPA(アイピーエー)」という言葉を聞いたことがあるビールファンは少なくないでしょう。
最近はビールといっても様々な種類のものが市販されています。
「ピルスナー」や「ヴァイツェン」「スタウト」「ポーター」という名前を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
「IPA」というのは「インディアペールエール」の略です。
長期の輸送に耐えられるようにホップをたくさん使い、アルコール度数を高くして作られたエールビールで、イギリスで生まれました。
当時、イギリスはインドを植民地にしていました。
しかし、インドにはきれいで安全な水が少なかったため、現地のイギリス人が安心して飲めるようにとビールを送ったのがIPAの始まりです。
しかし、次第にイギリスでIPAが造られることはなくなっていき、1900年にはほぼ姿を消してしまいました。
そんなIPAが復活したのは1980年代のことです。
クラフトビールブームのアメリカで、これまで飲んだことのないビールを造ろうと挑戦したのがきっかけです。
アメリカ産のホップは、ヨーロッパ産のホップよりも香り・苦みともに強く、IPAはそんなアメリカ産ホップの特徴を生かすのに適したスタイルでした。
造ってみたところ「苦いけど美味しい!」と評判になり、今ではクラフトビールでも1、2を争う人気スタイルです。
IPAには、次のような銘柄があります。
- インドの青鬼
- ブリュードッグ パンクIPA
- ラグニタスIPA
- グランドキリンIPA

IPAの種類とそれぞれの特徴
IPAと一口に言っても、いくつかの種類に分けられます。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
スタンダードIPA
基本のIPAです。
アルコール度数は5.5%~7.5%で、明るいオレンジ色をしています。
総じてホップの豊かな香りが感じられますが、味わいは軽いものから重いものまでさまざまです。
ダブルIPA
「インペリアルIPA」と呼ばれることもあるのが「ダブルIPA」です。
スタンダードIPAよりも濃く、豊かな味わいが特徴で、アルコール度数は7.5%~10%程度あります。
強烈な苦みだけでなく、ほのかな甘みも感じることができる種類です。
ブラックIPA
黒ビール版IPAが「ブラックIPA」と呼ばれる種類です。
力強い味わいで、焙煎した大麦の苦みも加わるため、かなり強い苦みを感じます。
ホワイトIPA
ベルギーのホワイトエールとIPAのハイブリットが「ホワイトIPA」です。IPAの中では苦みが穏やかで、比較的飲みやすいとされています。
ベルジャンIPA
甘くフルーティーな味わいのビールを造るベルギー酵母を使って作ったIPAです。
ベルギー酵母由来の甘くフルーティーな香りを持ちながら、IPAらしい強い苦みも感じられます。
「苦くて甘くて苦い」そんな不思議な味わいのIPAです。
セッションIPA
度数が低く、軽やかな味わいのIPAです。
味わいはしっかりとした苦みを感じるIPAならではのものですが、アルコール度数が3.5%~4.5%と低いためすっきりしています。
IPAの楽しみ方
IPAの強烈な苦みは、飲み方を工夫したり、料理と合わせたりすることでさらに引き立ちます。
IPAをさらに美味しく楽しむ方法をご紹介しましょう。
専用のグラスを使ってみる
IPAには、IPAの美味しさを存分に楽しむための専用グラスがあります。
IPAグラスはワイングラスと通常のグラスを合体させたような形です。
この独特な形のグラスに注ぐことで、IPAの豊かな泡立ちと香り・苦みを存分に感じることができます。
グラスに注ぐときは、泡をたっぷりと注ぐのがおすすめです。

飲む温度にこだわってみる
IPAは上面発酵で作られるエール系のビールです。冷やしすぎると豊かな香りが閉じてしまい、物足りない味になってしまいます。
IPAの飲み頃温度は10℃~12℃がベストです。
軽やかな味わいのIPAは少し低めの温度、どっしりとした味わいのIPAは少し高めの温度で味わってみましょう。
料理と合わせてみる
IPAの苦みは、料理と合わせることで引き立ちます。
IPAを飲むときは、脂っこい料理と合わせてみましょう。料理の脂でIPAの苦みがマイルドになるだけでなく、脂っこい口の中がIPAの苦みでリセットされるので、どちらも最後まで飽きずに楽しめます。
また、「インディア」と名前が付くだけあって、IPAはカレーとの相性も良いです。
スパイシーなカレーと合わせて楽しんでみてください。
揚げ物やカレーのほかには、豚の角煮や餃子、麻婆豆腐、手羽先、チリコンカン、ユッケなどとも相性が良いです。
甘辛い味のものや、スパイスをたっぷり使った料理と合わせるとホップの香りと苦みがより美味しく感じられます。

まとめ 独特の苦みを味わってみよう!
IPAの魅力は、なんといっても豊かな香りと強烈な苦みです。冷たくして飲むよりも、少し高めの温度で味わうことで、それらを存分に堪能することができます。
IPAといっても様々な種類があるので、飲み比べてみるのも良いでしょう。
IPAを楽しむときは、ぜひ温度やグラス、合わせる料理などにもこだわってみてください。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。