一般的なビールは、瓶や樽に詰める際に酵母の働きがストップするため、瓶や樽の中で熟成が進むことはありません。しかし「リアルエール」と呼ばれるビールは、酵母が生きている状態で詰められるため、詰めてからも熟成が進み、飲むタイミングで全く異なる味わいが楽しめます。この記事ではリアルエールの魅力をお伝えします。
リアルエールは伝統的な作り方で作られたこだわりのビール

ヴァイツェンやピルスナー、IPAなど最近はビールにも様々なスタイルがあることが広く知られ、スーパーやコンビニなどでも気軽にそれらのビールが購入できるようになりました。
ビールのスタイルは実に100種類以上あると言われていますが、中でもビールファンを中心に愛されているのが「リアルエール」という特別な製法で作られたビールです。
「リアルエール」は、イギリスの伝統的なビールの作り方で作られたエールで、スタイルは一つに限りません。
リアルエールの特徴は、なんといってもその味わい。「ビールは炭酸が強いお酒」と思っている方は、リアルエールを飲むとびっくりするかもしれません。というのも、リアルエールはほとんど炭酸を含まないからです。
まったりとした味わいはいろいろな料理と相性がよく、ビールの炭酸が苦手な人でも飲みやすいと人気があります。
また、リアルエールは酵母が生きた状態で瓶や樽に詰められるため、徐々に瓶や樽の中で熟成が進み、味が変わっていくのも魅力です。詰められたばかりのリアルエールと、詰められてから1か月経ったリアルエールでは驚くほど味が違います。
リアルエールの味わいはどう変わっていくの?

では、リアルエールの味わいはどう変わっていくのでしょうか?
詰められたばかりのころは、フレッシュな味わいで、ホップのいきいきとした香りが感じられます。しかし、熟成が進むにつれてホップの香りは穏やかになり、今度は麦芽の香りが強まって、熟成によるコクも出てきます。
リアルエールの醍醐味は、同じビールでも開栓するタイミングでまったく異なる味わいが楽しめるところです。
リアルエールはどこに行ったら飲めるの?

では、リアルエールはどこに行ったら飲めるのでしょう。基本的にリアルエールはカスクと呼ばれる樽に詰められて出荷され、ハンドポンプという特別な方法で注がれます。したがって、おいしいリアルエールを飲みたいのであればやはりビールにこだわっているパブやビアバルなどに行く必要があるでしょう。
リアルエールを自宅で飲むのは難しい?
「でも、近くにビアバルなんてないよ」という方には、缶や瓶に入ったリアルエールをおすすめします。種類は少ないですが、ないわけではありません。
有名なところだと、ヤッホーブルーイングの「よなよなリアルエール」などがあります。
生きているビールを自宅で手軽に味わおう!

「リアルエールを自宅で味わいたい!」という人におすすめしたいのが、南イタリアのアブルッツォ州マイエッラ山麓で作られている「マイエッラビール」です。
「マイエッラビール」は地元の素材を使って作られたこだわりのビールで、現在8種類がラインナップされています。
「マイエッラビール」は酵母が生きている状態で瓶詰めしているため、瓶の中でも発酵が進みます。そのため、開栓するタイミングによって同じビールでも異なる味わいが楽しめるのです。
イギリスのパブでサーブされるようなほぼ無炭酸のリアルエールとは少しタイプが異なりますが、リアルエールが気になっている人はぜひ一度「マイエッラビール」を味わってみてはいかがでしょうか。
マイエッラビールのおすすめビール3選
それでは、マイエッラビール8種類の中でも特におすすめのビールを3種類ご紹介しましょう。
- ディア・マイア
「ディア・マイア」はアルコール度数低めのブロンドエールです。さっぱりとした味わいで、ハーブのようなすっきりとした香りが感じられます。ゆっくりじっくり飲むというよりも、暑い日にゴクゴク飲みたいビールです。

- マシアス
ゆったりと時間をかけて味わいたいなら、「マシアス」がおすすめです。はちみつを加えて作られたアンバーエールは、しっかりとした飲みごたえでキャラメルのような甘い香りがします。まろやかでクリーミーな味わいなので、少し温度を上げて楽しんでみてください。

- エミグランデ
エミグランデは、ペールエールをヒントに作られたブロンドエールです。注いだ瞬間は柑橘類のようなフレッシュな香りが感じられます。コクと苦み・キレのバランスが良いので、飲み飽きない味わいです。

まとめ
一般的なビールとは違う魅力にあふれた「リアルエール」は、特別な日にこそ飲みたいビールです。自宅で樽(カスク)に入ったリアルエールを楽しむのは簡単ではありませんが、ぜひ一度味わってみてください。自宅で気軽に酵母が生きているビールを味わうのなら、南イタリアの「マイエッラビール」がおすすめです。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。