皆さんは「ホワイトエール」と聞くと、どんなビールを思い浮かべるでしょうか。
一般には白くて、味わいはスッキリしたタイプ、アルコール度数もそれほど高くないビールをイメージする方が多いかと思います。
ですが、ホワイトエールと聞いて、はっきりと「こういうビール」と言える方は意外と少ないのではないでしょうか。
ホワイトエールの歴史

実はホワイトエールは昔から世界中で造られているスタイルで、地域によって作り方が微妙に異なります。
一部の書籍によると、ホワイトエールは、昔、イングランドのサウスハムスというところで造られていたもののことを指すとも言われます。これは、「グルート」というハーブやスパイスを混ぜた保存剤(昔、ビールにホップが使われる前に使われたもの。)を使ったビールで、このレシピのビールは現在はもうほとんど作られておりません。
このように、ホワイトエールと言ってもいろいろな種類があり、一概に「ホワイトエールとはこういうものだ」と一言で表すことが難しいスタイルなのです。
現在のホワイトエール
現在だと、「ホワイトエール」というとベルジャンスタイルのホワイトビールが皆さんの共通の認識としてあるように思います。
そこで、今回はベルジャンスタイルホワイトエール(以下、ホワイトエール)について詳しくご紹介していこうと思います。
ホワイトエールの特徴

ホワイトエールは日本でとても人気のあるビールです。ビール好きの方であれば、一度や二度は飲んだことがあるかと思います。
ホワイトエールの特徴は何と言ってもその白い見た目です。
ホワイトエールは「ヴィットビア」、「ベルジャンヴィット」とも呼ばれます。
「ヴィット」とはベルギーの言葉で、「白」という意味があります。
このビールの元になる麦汁には、小麦由来のたんぱく質(=グルテン)が多く含まれているため、白く濁ったビールができるのです。
ベルギーには小麦を使って作るビールが非常に多く、特にホワイトエールには原材料の半分近くも小麦を使っています。
その他の特徴として、柑橘系のフルーティーな香りやほのかなスパイスの香りを感じます。
泡持ちがよく、まろやかな口当たりで、ヨーグルトに似た酸味があります。
苦みを感じないさわやかな味わいで、昔から多くのビールファンを魅了しています。
9℃前後が飲み頃の温度です。
ホワイトエールの代名詞「ヒューガルデンホワイト」

ヒューガルデンホワイトというビールがあります。
このビールは、世界中で広く愛されるクラフトビールで、ホワイトエールの代名詞的存在でもあります。
日本でも最も人気の高いベルギービールの一つです。
このビールの名前にある「ヒューガルデン」とは、ベルギーにある村の名前です。
ヒューガルデンはホワイトエールの醸造村として長い歴史を持っています。
この村では一時期、35カ所もの醸造所でホワイトエールが造られていました。
ですが、1950年代の中ごろから、ホワイトエールは“時代遅れ”のビールとされ、このビールを造る醸造所は段々と廃れていき、1957年には一つもなくなってしまいました。
ホワイトエールのグラスルーツ「ピエール・セリス」という人
しかし、1960年代になり、最後まで残っていた醸造所の近くで、当時、牛乳販売の仕事をしていた、ピエール・セリスという人物がホワイトビールを復活させようと動きました。
彼こそが、今のホワイトエールの元になるビールを造りだした醸造家です。
彼は1966年に「ヒューガルデン・ヴィット(ホワイト)ビール」を完成させます。
このビールには原料として、コリアンダーとオレンジピールを使っています。
これらの原料を醸造過程で使用することで、濁ったビールに焼き立てのパンのようなほのかな味と香りが加わります。
酸味と甘みのバランスが良い独特な味わいとまろやかな口当たりが特徴のこのビールは、ベルギーの若者の間で大変な人気を博しました。
その後、ベルギーのあちこちでホワイトエールが生まれ、現在では20以上の銘柄が造られています。
1989年、ピエール・セリスは醸造所をインターブルー社に売却し、アメリカへ移住し、その後テキサス州オースティンで新しい醸造所を開設しました。
現在「ヒーガルデン・ヴィットビール」はABインベブ社によって造られている。
その後、ホワイトエールは多くの国で造られ始めています。特にマイクロブルワリーの多い、オランダとアメリカでは多くのブルワリーで盛んに作られています。
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ホワイトエールに合う料理

ホワイトエールはハーブやスパイスを使った料理や酸味のある料理にとてもよく合います。
ビールのスタイルの中でもそこまで主張の強いビールではありませんので、タイ料理、中華、インド料理と幅広いジャンルの料理に合わせることができます。
さわやかな味はフレッシュでやさしい触感のものとも相性がよく、重い料理というよりはサラダなどの軽い料理と合わせると良いでしょう。
ホワイトエールのまとめ
ここまでホワイトエールについて詳しくご紹介してきました。
ホワイトエールはクラフトビールの中でもとても飲みやすいビールです。苦みが少なく、ビールが苦手な方でも、おいしく飲めると思いますので、これからクラフトビールを飲んでみたいという方は是非、ホワイトエールから飲んでみてはいかがでしょうか。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。