ドイツでしか飲めない伝統的なビール!華やかな味わいが楽しめる「ケルシュ」スタイルについて解説

世界の国々にはさまざまなビール文化があり、国ごとによく飲まれているビアスタイルはさまざま。なかでも「ケルシュ」というスタイルは日本で見かける機会が少ないですが、実はドイツで古くからつくられる伝統的なビール!すっきりした味わいと華やかさが両立した「ケルシュ」の魅力をたっぷりと解説します。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ

ふわっと軽やか、華やかな香り
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ

爽やかなりんごジャムの酸味
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ

麦芽100%
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ

オレンジピールの爽やかな香り
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。

Magia Rossa マジア・ロッサ

麦芽の芳醇さとオレンジの香り
琥珀色で、甘く麦芽の味わい豊かなウィートエール。
麦芽の香ばしさとオレンジピールの爽やかさのバランスが絶妙です。

Matthias マシアス

濃厚なはちみつの香り
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ

深いコクの芳醇なダークエール
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。

ケルン地方特産の厳しい掟を守ったビール

「ケルシュ」はドイツ西部、ライン川流域にある都市ケルンでのみつくられるビール。ケルンにはユネスコ世界遺産に登録されるケルン大聖堂をはじめとした歴史的な建造物や美術館、博物館が多く、世界中から観光客が訪れています。

そんなケルンでうまれたのが「ケルシュ」スタイルのビール。ただし、「ケルシュ」を名乗ることができるのは「ケルシュ協約」に調印した24の醸造所のビールのみです。

「ケルシュ協約」は1986年に締結されたもので、「ケルシュを注ぐグラスは200mlの円柱グラスとする」など16の掟が厳しく定められています。

原産地や醸造方法までしっかりと定められており、これらを守ることに同意したケルン近郊の醸造所のみが「ケルシュ」をつくることを許されているのです。日本でもケルシュスタイルのビール自体はつくられていますが、「ケルシュ」と正式に認められたビールはケルンでしか飲むことができません。

ビールを愛する国、ドイツのなかでも伝統を守り、古くから愛されているのが「ケルシュ」。なのです。

華やかさと飲みやすさを両立した味わい

きれいな黄金色をしている「ケルシュ」の見た目は日本でもメジャーなピルスナータイプのビールにもよく似ていますが、香りはとても華やか。上面発酵の酵母を下面発酵に近い低温でじっくり熟成するのが特徴です。

ホップのほどよい苦みが感じられるのに、後味はドライですっきり爽やか。苦いビールが苦手な人もおいしく飲むことができる味わいです。

のどごしが軽いため何杯でも飲みたくなる味わいです。クセがなく軽い飲み口なので、1杯目のカンパイビールにもぴったり!

アルコール度数は4.5~5.5%くらいのものが多く、日本で多く飲まれているピルスナーとそれほど変わりません。

ソーセージをはじめとしたドイツ料理とのペアリングもおすすめ。ビール単体で飲むのはもちろん、食事の味を邪魔することなく引き立ててくれる爽やかなビールです。

ドイツ原産の「アルト」との違いって?

ドイツ語で「古い」という意味を持つ「アルト」は、「ケルシュ」と同様にドイツで古くから愛されているビアスタイルの1つです。

「ケルシュ」に比べるとビールの色が濃く、麦芽の濃厚なコクやホップの華やかな香りを楽しむことができます。軽いビールが飲みたいときは「ケルシュ」を、コクのあるビールが飲みたいときは「アルト」を選ぶといいかも?

飲みかたも特徴的!わんこそば形式で何杯でも飲めちゃう

ケルンを訪れると、大聖堂など歴史的な建物の周りにビール販売店や醸造所直営のビアパブがいくつも立ち並んでいます。

樽生やボトル、缶などさまざまな形式で「ケルシュ」を飲むことができますが、お店で飲むときは“飲みかた”までもが「ケルシュ協約」で定められているため、初めて見る人にとっては驚きの光景が広がっているはず。

「ケルシュ」は細長い円柱状の「シュタンゲ(200ml/日本語で棒の意味)」とよばれる専用のグラスで飲むのが一般的です。「クランツ」というシュタンゲをいちどにたくさん乗せられる特殊なお盆にのってビールが運ばれてきます。

グラスが空になると、追加でオーダーしなくても新しいビールが提供されるのも「ケルシュ」の特徴。まるでわんこそばのように、次々と新しいビールに取り換えてくれます。

いわゆるジョッキよりも小さいシュタンゲは、するっと飲めてしまうサイズ感です。

しかし、「もう飲めない!」と思ったらコースターをグラスに置き、ふたをすればそれ以降新しいビールが提供されることはなくなります。

なかにはおかわりするか否かを確認してくれるお店もありますが、基本的にはこの“わんこそばスタイル”が「ケルシュ」を楽しむうえでの基本。知らずにお店に行ったらびっくりしてしまうかもしれませんね。

お店によっては、コースターに線を引いて何杯飲んだかをカウントし、お会計のときに金額を計算してくれるところも。

飲みかたまで「ケルシュ協約」できちっと決められているのも「ケルシュ」ならではの特徴です。厳しい掟によって守られてきた伝統を感じながら飲む楽しみを味わえます。

日本でもケルシュ風ビールが飲める

ドイツまではなかなか行けない!という人は、日本で飲めるケルシュスタイルを体験してみるのがおすすめ。「ケルシュ協約」にのっとっていない、あくまでケルシュ“風”のビールですが、本場の醸造方法を参考にしたビールを飲めばケルンを訪れたような気分にひたれること間違いなしです。

日本にもケルシュスタイルのビールをつくっているブルワリーがあります。

  • 銀河高原ビール「そよ風のケルシュ」
  • 黄桜 京都麦酒「ケルシュ」
  • 飛騨ビール「ケルシュ」
  • 穂高ビール「ケルシュ」
  • はこだてビール「北の夜景(ケルシュ)」

代表的なのは上記のビール。ネットや酒販店で手に入るものもあるので、気になる人はぜひ飲んでみてくださいね。

「ケルシュ」を飲んでドイツの文化と伝統を体感しよう

日本ではあまりなじみのない「ケルシュ」というスタイルのビールは、ドイツでは古くから守られてきた伝統的なビールです。

伝統的な製法による味わいはもちろん、飲み方まできっちりと決められている「ケルシュ」を飲めば、ドイツやケルン地方の文化を身体で感じることができるかも。日本で売られているケルシュ風のビールもあわせて、ぜひ飲んでみてくださいね。

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