今回ご紹介するのは「ダークエール」というビールです。
ダークエールはクラフトビールの中でそこまでメジャーな方ではないですが、かなり熱狂的なファンがいるビールです。
ダークエールという名前からなんとなくダーク系の色をした味わい濃いめのビールなのかなと想像することができるかもしれません。
ですが、実はダークエールはその捉え方が様々で、一つのビアスタイルとして捉える場合もありますし、黒っぽいビール全般のことをダークエールと呼ぶ場合もあります。
ダークエールはクラフトビールの中でも少し特殊な枠組みのビールです。今回の記事でダークエールについてしっかり理解を深めていただければ嬉しく思います。それでは、ダークエールについて、詳しくご紹介していきます。

ダークエールってどんなビールなの?
ダークエールは色が暗い茶色や黒いエールビールです。焙煎した麦芽を使用することでその黒っぽい色合いを出しています。
こちらでは一つのビアスタイルとして捉えた時のダークビールについてご紹介していこうと思います。
ダークビールのアルコール度数は比較的高いものが多く、8℃前後が一般的です。
苦みは見た目のわりにそこまで強くなく、反対に麦の甘味が強いものが多いです。
アルコール度数の高いビールというのは熱狂的ファンが生まれやすく、このスタイルも例外ではありません。このスタイルはアルコール度数が高いわりにあまり苦みを感じず、むしろ甘くて飲みやすいという点が魅力の一つです。一部の話によると、当時のイギリスで流行っていたバートン・オン・トレント発祥のペールエールに対抗すべく、生み出されたのがこのダークエールだったようです。

ダークエールはブラウンエールなの?
ダークエールはブラウンエールと呼ばれることもあります。
豊かな風味を持つ色の濃いビールです。
ポーターというスタイルに似ているのですが、色はそれよりも薄く、(ちなみにポーターは真っ黒のビールです。)甘味があって、より円やかな味わいを持っています。
ブラウンエールの特徴
英国の2種類のブラウンエール
ビアスタイルは地域によって味わいも少しずつ変わってきますが、このブラウンエールも地域によって味わいが異なります。
英国のブラウンエールは、南部のイングリッシュ・マイルドエールと、北部のイングリッシュ・ブラウンエールの2つに大別されます。
ここからこの2つのダークエールの違いについてご紹介していきます。
イングリッシュ・マイルドエール
南部のイングリッシュ・マイルドエールは色合いは不透明なダークブラウンで甘みがあるのが特徴です。アルコール度数は3~3.5度と低く、苦みも低いです。
この地域はホップの生産地から遠く、輸送費に多くのコストがかかってしまいました。そのため、当時はその問題を解決しつつ、ペールエールとは違った味わいで差を出すために麦芽の風味を強調したビールを造りました。麦芽の風味がよく感じられ、逆にフルーティーな香りや味はほとんど感じられません。
ビール評論家のマイケル・ジャクソンはブラウンエールを「イングランドのデザートビール」と名付けています。
原料にクリスタルモルトを使っているため、非常に滑らかな口当たりと
まったりとした甘みが感じられます。
イングリッシュ・ブラウンエール
北部のニューキャッスルで生まれたイングリッシュ・ブラウンエールは赤みがかったブラウンの色をしていて、マイルドエールよりもドライな味わいのものが多いです。アルコール度数も4~4.5%とマイルドエールより高くなっています。焙煎した麦芽の風味が特徴で、まろやかな口当たりのビールです。
アメリカン・ブラウンエール
アメリカのブラウンエールは英国のものよりも甘味が少ないものが多く、ホップもより強くきかせているのが特徴です。「カリフォルニア・ブラウン」または「テキサス・ブラウン」とも呼ばれ、英国のものに比べてダイアセチル(ビールに合ってはならないとされる香り(オフフレーバー)の一種。スタイルによって意図的にオフフレーバーを出しているものもある。) がない。

代表的なダークエール
とここまで、一つのスタイルとしてのダークエールについて詳しくご説明してきましたが、ここからは大きなくくりとしてみた時のダークエールについて、そして、代表的なダークエールについてご紹介していきます。
ダークエールを大きな枠組みでとらえた場合、黒い系のエールビールのことをまとめて「ダークビール」ということもあります。
代表的なダークビールをご紹介します。
ポーター
昔冷蔵設備のない時代に開発されたビール。傷んでしまったビールとまだ若いビールを混ぜることでおいしく飲もうとしてできたのがきっかけです。
焙煎した麦の香ばしい香りが特徴。
スタウト
ポーターの味わいを強くしたダークエール。アイルランドの首都ダブリンが発祥。きめ細やかな泡とキレのある味わいが特徴。
ダークエールなマイエッラビール
ダークエールのまとめ
このようにダークエールには様々な捉え方があります。全体としていえることは、焙煎した麦による深い味わいや、麦の特徴が強い点がダークエールの魅力と言えます。癖のあるクラフトビールですが、いろいろなビールを試してみたい方は是非ダークビールに挑戦してみてください。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。