クラフトビールはとても個性豊かですが、その魅力を十分に引き出すためには、飲み方に少し工夫が必要です。「何だか面倒…」なんて思わず、ぜひチャレンジしてみてください。今までとは違う味わいに驚くでしょう。今回は、美味しく味わうための温度帯や、合わせる料理、テイスティングの方法をご紹介します。

おすすめの温度帯
冷やした状態(5℃前後)がおすすめのビールはラガー系です。その理由は、キレとのどごしが特徴のビールだからです。ぬるい状態のラガービールを飲んでも、いまいち美味しくないと感じるでしょう。では、エールビールを冷やして飲むとどうなのでしょうか。答えは、香りやコクを感じにくくなります。例えば、アイスコーヒーよりもホットコーヒーのほうが香りを感じやすいですよね。エールビールの魅力は豊かな香りやコク、甘味です。そのため、ややぬるめ~常温で飲むと本来の魅力を引き出せます。ここからは、具体的なビールの種類を交えながら、詳しく説明していきます。
5℃前後
前述の通り、ピルスナーやアメリカンラガー、ドルトムンダーなどは冷やしたほうが美味しくいただけます。冷やすことで、キレやのどごしがより楽しめます。また、ピルスナーはより冷やした(3℃程度)がおすすめです。
9℃前後
9℃前後というと、冷蔵庫から出して10分程度常温に放置した状態です。この温度帯で飲むと美味しいのが、ヴァイツェン、スタウト、デュンケル、フルーツビール、ランビックなど。少しだけぬるいと感じる温度ですが、冷えた状態よりも香りの広がり方が違います。
12℃前後
12℃前後は、冷蔵庫から出して15分程度常温に放置した状態です。キンキンに冷えたビールに慣れていると、ぬるいと感じるでしょう。この温度帯で飲むと美味しいのが、IPA、ペールエール、トラピスト、スコッチエール、バーレイワイン、フランダースエールなど。これらのビールは、香りの広がりやコク、甘味などを感じるためにも、少しずつ味わいながら飲んでみてください。

飲むタイミングもビールごとに変わる
食事中にビールを飲む方も多いと思いますが、クラフトビールの中には食後やデザートなどと楽しむとよいものもあります。では、どのビールはどのタイミングで楽しめばよいか、簡単にご紹介します。
食前
食前におすすめのクラフトビールは、ヴァイツェン、ペールエール、ピルスナーなど。軽い口当たりやフルーティーな風味のものは、食前酒にぴったりです。また、食前酒としてビールを飲むと消化を促したり、食欲が増進されたりすると言われています。
食事中
食事中はメニューに合わせてビールを選ぶとよいでしょう。魚料理や和食など、あっさりとしたものには、食前酒と同じくヴァイツェン、ペールエールなどが合います。軽い口当たりが繊細な料理の味を邪魔しません。肉料理や中華など味が強いものには、スタウト、ポーター、スコッチエールなどコクのあるビールが合います。こってりとした料理には、IPA、ピルスナーなどのさっぱりしたビールがおすすめです。
食後
意外と思われるかもしれませんが、食後にもビールはぴったり。チーズやナッツなどのおつまみはもちろん、スイーツとも相性がいいのです。チョコレートビールやフルーツビールは、スイーツと相性抜群。また、バーレイワインや木樽熟成ビールなど、アルコール度数が高かったり、香りに特徴があったりするものは、食後にじっくりと味わうとよいでしょう。

テイスティングにチャレンジ
クラフトビールの楽しみ方のひとつとして、テイスティングもおすすめします。ワインや日本酒などのイメージがあるかもしれませんが、個性豊かなクラフトビールもテイスティングに適しています。テイスティングに正解、不正解はないため、気軽にチャレンジしてみましょう。
テイスティングの方法
用意するものは、好みのビール、グラス、水の3つ。数種類のビールをテイスティングする場合、前のビールの味が口に残っている状態は好ましくありません。また、味が分からなくなるため、テイスティング中はおつまみを控えましょう。
- 色や泡立ちをチェック
まずは、ビールをグラスに注ぎます。その際、どんな色をしているか、泡立ちはどうかなどを見てみましょう。瓶や缶に入っているときには分からなかった情報が得られます。また、斜め下から見ると、泡の立ち上がり方も分かります。
- 香りをチェック
次に、香りをかいでみましょう。フルーツや花、草など、様々な香りが感じられるはずです。なお、エールビールは冷やし過ぎると香りを感じにくいため、少しぬるめの状態がおすすめです。
- 味をチェック
最後に口に含み、味をチェックします。ポイントはすぐに飲み込まないこと。2~3秒含み、口全体にビールを行き渡らせると、苦味だけでなく甘味や旨味、コクなどを感じられます。そして、飲み込んだら口に残る味と香りを楽しみましょう。
数人でテイスティングを行い、どのビールが好きだったか、どう感じられたかなど、意見を交換するのもよいですね。味や香りの感じ方は人それぞれなので、様々な意見を聞くとおもしろいでしょう。テイスティングをする度に、ノートなどに記録するのもおすすめです。

美味しく飲むためにひと手間を
クラフトビールをより美味しく味わうための、おすすめの方法をご紹介してきました。もちろん、何も気にせず飲むのも間違いではありませんが、ひと手間かけることで、クラフトビールの新たな魅力を発見できるはずです。ぜひこのひと手間を頭の片隅に入れておいてくださいね。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。