今クラフトビールファンの間で、とても人気のあるスタイルの一つに「ウィートエール」というものがあります。
実は、このウィートエールには様々な種類が存在します。
今回はそんなウィートエールについて、詳しくご紹介していきたいと思います。

小麦を使ったエールビール
皆さんは、「ウィートエール」についてどのようなイメージをお持ちでしょうか。
クラフトビールをよく飲まれる方はウィートエールに対して、ある程度共通のイメージを持たれているかと思います。
「ウィート」とは英語で「小麦」のことを言い、ウィートエールは「小麦を使ったエールビール」のことを指します。
ウィートエールには原材料として大麦麦芽も使われますが、その他に生の小麦や小麦麦芽を大量に使用します。
ウィートエールは、世界中でその地域の特徴に沿って、異なる製法で造られています。

ウィートエールの代表的な4つのスタイル
これからウィートエールの中でも特に有名なスタイルを4つ挙げてご紹介したいと思います。
- ベルギースタイル
- 北ドイツスタイル
- バヴァリアスタイル
- アメリカンスタイル
ウィートエールは中世にヨーロッパのいろいろな地方で造られていたため、このように現在でもたくさんのスタイルが残っています。
ベルギースタイル

ヒューガルデン・ホワイト
まずはベルギースタイルのウィートエールからご紹介していきます。
ベルギービールは小麦を使って造るビールが多いことでも有名です。
その中でベルギースタイルのウィートエールを語る上で欠かせない、代表的なビールとして、ヒューガルデン・ホワイトというビールがあります。
このビールは1950年代半ばに誕生したビールで、現在でもとても人気のあるビールです。
原料にオレンジの皮やコリアンダーを使っており、白く濁った見た目が特徴的なビールです。一時期、このスタイルのビールを造っている醸造所が全て廃業してしまうピンチがありましたが、ピエール・セリスという人物により復活しました。彼によって造られた「ヒューガルデン・ヴィット・ビール」が現在のヒューガルデン・ホワイトの原型になっています。
まろやかな口当たりと、苦みの少ない飲みやすいスタイルのため、ビールの苦みが苦手な方でも抵抗なく飲めるビールです。
北ドイツスタイル

次にご紹介するのは北ドイツのウィートビールです。
ベルリーナ・ヴァイセ
この地域の代表的なウィートビールの一つに「ベルリーナ・ヴァイセ」というビールがあります。ベルリン地方で造られるこのビールは“北のシャンパン”という異名を持ち、グラスに注ぐと、ソーダ水のような泡が立ちます。醸造過程でヨーグルトなどに使われる乳酸菌を植え付けた酵母を使用するため、とても酸っぱいビールが出来上がります。
このビールに、ラズベリーシロップや車葉草(くるまばそう)というハーブのシロップなどを入れて、酸味を和らげてから飲むのが一般的です。
ケルシュ
北ドイツスタイルの代表的なウィートビールとしてもう一つ上げられるのが、「ケルシュ」です。
このビールはドイツのケルン地方で造られます。
醸造方法に特徴があり、一般的なエール酵母の発酵温度よりも低温で発酵させ、熟成も低温で行われます。りんごのようなフルーティな香りがほんのり感じられる、スッキリとしたビールです。
「シュタンゲ」と呼ばれる小さな細長いグラスで飲むのが伝統的な飲み方です。
バヴァリアスタイル

ヘーフェ・ヴァイツェン
次にご紹介するのは、バヴァリアスタイルのウィートエールです。
バヴァリアスタイルとは南ドイツのスタイルのことを指します。
バヴァリアのホワイトビールは大麦麦芽に40~60%の小麦麦芽を加えて造ります。このスタイルには特殊な酵母を使用するため、独特なクローヴのような風味や、酵母由来のエステル(果物のような甘い香り)の風味などが出ます。
この地域で造られるウィートエールとして有名なビールが、「ヘーフェ・ヴァイツェン」です。このビールは日本でも比較的手に入りやすい銘柄です。
クリーミーな泡やバナナのような香りが特徴です。口当たりがよく、苦みも少ないため、国内でも人気の高いビールです。
アメリカンスタイル

最後にご紹介するのは、アメリカンスタイルのウィートエールです。
ウィートボック
「ウィートエール」と聞くと、このアメリカンスタイルウィートエールを思い浮かべる方が多いかと思います。
このスタイルは、実は、ほとんどがバヴァリアスタイルを基本にしています。
しかし、通常の酵母を使用するため、バヴァリアスタイルのウィートエールに感じられるようなクローヴの風味はありません。
アメリカンウィートエールの中には、アルコール度数の強い「ウィートボック」やフルーツをベースにしたものなどがあり、多様性に富んでいるという特徴があります。
ウィートエールのマイエッラビール
ウィートエールのまとめ
今回ご紹介したように、一口にウィートエールと言っても様々な種類があり、その地域に合った作り方や飲み方が存在します。
この記事を読んで、ウィートエールについて興味が出たという方は、是非、世界中の色々なウィートエールに挑戦してみてください。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。