普段私たちが何気なく飲んでいるビールですが、作り方は大きく3つに分けることができます。今回は、そのなかでも「上面発酵」で作られるビールについてお伝えしましょう。

上面発酵とは?
ビールの作り方は大きく3つあります。
・上面発酵
・下面発酵
・自然発酵
の3つです。
その中でも上面発酵で造られるビールは
・フルーティーな味わいのものが多い
・ビールの味わいに個性が感じられる
・芳醇な味わいと香りが感じられる
という特徴があります。
では、上面発酵とは具体的にどのような作り方なのでしょうか?
ビールは麦芽・ホップ・水を発酵させ、寝かせて作られます。
上面発酵でビールを造る場合、発酵させる温度は15℃~20℃の常温で、発酵期間は3日~4日と下面発酵に比べて高温・短期間で発酵させます。
この時、発酵が進んでくると、酵母がタンクの上の方に集まってくるので「上面発酵」というのです。
上面発酵で作られるビールには、醸造所がある場所の気候や風土、水の質、人々の生活などが強く反映されます。
そのため同じスタイルのビールでも地域によって異なる味わいを楽しむことができるのです。
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上面発酵で作られるビールの代表的なスタイル
では、上面発酵で作られるビールの代表的なスタイルを見ていきましょう。
ペールエール
「ペールエール」は、イギリス生まれのスタイルです。色は黄金色から銅色で、ホップや麦芽の豊かな香りを感じることができます。
クセが無い味わいなので、様々な料理と合わせやすいビールです。
IPA
「IPA」は正式な名前を「インディアペールエール」と言います。イギリスがインドを植民地にしていた時代に生まれたスタイルで、強烈な苦みが特徴です。
インドまでの輸送に耐えられるよう、大量のホップを入れ、アルコール度数を高めにして作られました。
通好みのスタイルといえます。
ベルジャンホワイト
ベルギーのヒューガルデン村で14世紀に作られていたビールがもとになったスタイルです。苦みはマイルドで、フルーティーなことから、ビールが苦手な人でも飲みやすいとされています。
通常のビールと違い、オレンジピールやコリアンダーなどで香り付けをしているのも特徴です。
ヴァイツェン
ドイツで、小麦麦芽を使って作られているビールです。バナナのような甘くフルーティーな香りで、苦みもマイルドなことからビール初心者でも飲みやすいとされています。
酵母をろ過していないものは白く濁っており、「ヘーフェヴァイスビア」と呼ばれます。
スタウト
アイルランドで生まれた「スタウト」は、どっしりとした力強い味わいが特徴です。
麦芽を黒くなるまで焙煎してから作るので、ビールそのものもほぼ黒に近い褐色をしています。
焙煎した麦芽の苦みとホップの苦みだけでなく、香ばしさやカラメルのような甘さも感じることができるスタイルです。
ポーター
「ポーター」は、熟成が進んで酸味が出たブラウンエールに、フレッシュなブラウンエール、ペールエールをブレンドして作られたとされています。
20世紀には一度市場から消えてしまいましたが、近年復活を遂げました。
ふくよかでコクのある味わいで、苦みの中にもしっかりと甘さが感じられます。
アルコール度数も高いので、あまり冷やさずに味わうのがおすすめです。
上面発酵ビールの美味しい味わい方
上面発酵で作られるビールのスタイルをご紹介しましたが、どうすれば上面発酵のビールをもっと美味しく味わうことができるのでしょうか?
上面発酵ビールをより美味しく楽しむポイントは、次の3つです。
冷やし過ぎに注意する

上面発酵のビールは、下面発酵のビールに比べると香りが豊かで、複雑な味わいです。
下面発酵のビールのようにキンキンに冷やすと香りや味わいが弱くなってしまうので、冷やし過ぎには注意しましょう。
飲み頃の温度は10度以上。少し冷たいぐらいがベストです。
冷蔵庫で保管していたビールは、飲む15分ぐらい前に冷蔵庫から出し、少し室温に戻しておくと良いでしょう。
適温で楽しむことで、上面発酵のビールは驚くほど美味しくなります。
グラスの形にこだわる

ビールといえばジョッキで味わうものというイメージもありますが、上面発酵のビールに限っては、専用のグラスを使って味わってみましょう。
上面発酵のビールには、ビールのスタイルごとに専用のグラスがあります。
飲み口が広がっているものもあれば、ワイングラスとタンブラーをドッキングさせたような形のものまで様々です。
専用のグラスを使うことで、そのスタイルが持つ個性を存分に感じられるようになります。
合わせる料理を工夫してみる

上面発酵のビールは、醸造された場所の風土や気候、水の質などが強く反映されるお酒です。
そのスタイルが生まれた場所の料理と合わせることで、より美味しく楽しむことができるので試してみてください。
例えば、ベルジャンホワイトに合わせるならポテトやチキンを使ったクリーミーな料理がおすすめです。
IPAには揚げ物やカレーのようなパンチのある料理が合います。
スタイルが生まれた場所の料理がわからないときは、ビールの色と食べ物の色を合わせるのもおすすめです。
白く濁った黄金色のヴァイツェンには、フライドポテトやコールスロー、ポテトサラダが合います。
黒に近い色をしたスタウトには、チョコレートなどを合わせてみてください。
意外な組み合わせが発見できるかもしれません。
まとめ 専用グラスでゆったり味わってみよう
上面発酵ビールは、スタイルごとの個性的な味わいを堪能できる奥深いビールです。ぜひ専用グラスでゆったりと味わってみてください。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。