ラガービールはそもそもどんなビール?
さて、いきなりですが問題です。次のうちラガービールの定義として正しいものはどれでしょう。
- 製品パッケージに「ラガー」と表記がされているビール
- 熱処理がされているビール
- ビールの色が黄金色よりも濃いビール
実はABCすべて不正解です。「ラガー」の表記がないラガービールもありますし、熱処理されていないラガービールもありますし、黄金色のラガービールだって存在するのです。
そんなこといったらどれもこれもラガービールになりうるじゃないか、と思いませんでしたか。その通りなんです。
ラガービールの正しい定義はこちら。「下面発酵でつくられたビール」。なんともシンプルな定義です。反対に、上面発酵でつくられたビールをエールビールと呼びます。一部の自然発酵のビールを例外とすると、世界のビールは主にラガービールとエールビールの2種類に分けられるのです。ちなみに日本で流通しているビールのほとんどがラガービールになります。
「上面発酵」「下面発酵」と言われてもピンとこないかもしれませんね。もう少し詳しく説明しましょう。
なぜ下面発酵と呼ばれるかというと、発酵後に酵母が沈むからなんです。一方「上面発酵」の場合は酵母が上に浮き上がります。(ビールは酵母が発酵する際にアルコールを生み出す醸造酒)
上面発酵と下面発酵では、発酵温度や発酵期間が異なります。それぞれ正しいと思うほうを選んでください。
- 上面発酵のほうが発酵温度が低い
- 下面発酵のほうが発酵温度が低い
正解はBです。上面発酵の場合15~25℃で発酵するのに対し、下面発酵は10℃前後で発酵します。
続いては発酵期間について。
- 上面発酵のほうが発酵期間が長い
- 下面発酵のほうが発酵時間が長い
正解はこちらもBです。上面発酵の場合は3~5日の発酵を行いますが、下面発酵では7~10日ほど発酵します。
まとめると、下面発酵のラガービールのほうがより低温でじっくり時間をかけて発酵するということです。
こうして違う方法でつくられるラガービールとエールビールではその味わいも異なります。
ラガービール:のどごしがよくスッキリとした味わい。エールビールに比べると香りは弱い。
エールビール:芳醇な香りと豊かな味わいが特徴。
ラガービールは一般的に持たれるビールのイメージ通り、しっかり冷やしたものをゴクゴク飲んで爽快感を楽しむのに向いています。一方エールビールの場合は13℃が適温とされており、時間をかけてゆっくりと楽しむのに向いています。
【関連】クラフトビールとは

ラガービールの代表格ピルスナーについて
日本で流通しているビールのほとんどはラガービールと紹介しましたが、さらにいうとピルスナーというビアスタイルのビールが9割以上を占めています。(ビアスタイルとは原材料、発酵方法、熟成方法などにより分類されたもので、世界には100以上のビアスタイルが存在します)つまり、「日本の大手ビールメーカーが出しているほとんどのビール=ラガービール=ピルスナー」ということです。(近年はクラフトビールの流行もあってピルスナー以外のビールも登場し始めています)日本だけではありません。世界でも最も普及しているビアスタイルこそ、ピルスナーなのです。
ピルスナーは1842年に、ボヘミア(現チェコ共和国)のピルゼンで生まれました。ビールの色は何色ですか、と聞かれたら多くの人は黄金色と答えるでしょう。この黄金色こそピルスナーの特徴で、爽やかな喉ごしを楽しむことができるビールです。
- ラガービールに合うグラスの選び方
ラガービールをより一層美味しく飲みたいのであればぜひグラスにこだわってみたいところ。美味しく飲めるグラスの4つの条件をご紹介しましょう。
- 注ぎやすい
- 泡持ちがいい
- 飲みやすい
- 見た目がいい
この4つの条件を満たすグラスの代表例がフルート型です。泡やビールの色合いを美しく見せる効果があり、細長い形状のために飲み口が狭く香りを逃がさないからです。
反対に、以下のようなグラスはラガービールを飲むのに適しているとはいえません。
- グラスの先が開いているもの
- グラスの底が角張っているもの
- 特殊な形のもの
グラスの先が開いているものだと炭酸ガスが抜けやすいために、ビールの泡が粗くなりやすくなってしまいます。底が角張っているグラスだと、今度は炭酸ガスや泡が抜けづらくなり、重くきつい味わいになってしまいがちです。また、特殊な形のグラスは、注ぐときにビールの流れがなめらかにならないため、細やかな泡が生まれなくなるので避けましょう。

ラガービールの復習完了!
ビールを毎日のように飲む愛飲者でも意外と知らないビールの知識。でもこれでラガービールとエールビールの違いもばっちりですね。ラガービールの代表格ピルスナーのビールはしっかり冷やして爽快感や喉ごしを楽しむのが王道です。泡もビールの美味しさを決める要素の一つですから、ぜひ泡立ちや泡持ちのいいグラスを使ってください。ビールを一緒に飲む家族や友人にも教えてあげると喜ぶでしょう。ただしうんちくとお酒の量はほどほどに。

Novi Luna ノヴィ・ルーナ
軽くきめ細やかな繊細な泡と、柔らかい乳白色に白濁したビール。
素材にラベンダー、カモミール、オレンジの花、コリアンダーの種、オレンジピールなどが使われ香りがとても豊かな華やかなエールビールです。

Cluviae クルヴィアエ
靄がかかったような黄色のブロンドビール。
素材にりんごジャムを使用し穀物や果実のフルーティーさとほんのり酸味の爽やかな味わいが楽しめます。

Emigrante エミグランデ
アメリカのペールエールをヒントにつくられた深い金色のブロンドエール。
麦芽を100%使用し、香りと苦味のバランスがよくしっかりとした味わいです。

Magia d’Estate マジアデスターテ
ドイツのヴァイスビアをヒントに作られたウィートエールです。
オレンジピールの香りに泡は軽くきめ細やか。
乳酸菌の発酵による酸味とホップの苦味がアクセント。


Matthias マシアス
はちみつの香りと、豊かでクリーミーな泡のアンバーエール。
キャラメルのアロマ、果物、蜂蜜のオーガニックな味わいがしっかりと感じられます。

Bucefalo ブセファロ
力強い黒色、泡はクリーミーで赤褐色、芳醇なダークエールです。
チョコレート、コーヒー、リコリスの香りがホップの存在感と見事に調和。
ブラウンシュガーも効いていて嫌な苦味がありません。